円形脱毛症・瘢痕の治療

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「ストレスで頭に円形脱毛症が起こってしまった」
「怪我をして頭に毛髪が生えてこなくなった」
など脱毛について1人で悩んでいませんか?

ここでは円形脱毛症や瘢痕ができる原因や症状、治療法など詳しく解説していきます。適切な治療法を知るために、1つずつ理解を深めていきましょう。

円形脱毛症とは?

円形脱毛症とは?

円形脱毛症は、10円玉くらいの大きさで円形や楕円形に毛髪が抜けてしまう疾患です。一般的には頭髪の一部に突然できるものと思われていますが、頭部全体に広がるものや眉毛、まつ毛、体毛など広範囲に脱毛が起こる重度なものまであります。痛みは伴わず自覚症状が少ないため、他人に指摘されて初めて気づくケースも多く見られます。さらに、その部分が一度発毛したとしても、再発することもあります

AGAは原因が男性ホルモンによるもののため、発症するのは主に成人男性ですが、円形脱毛症は自己免疫疾患などが原因のため、女性や小さな子どもでも発症します。実際に円形脱毛症を発症している4分の1が、15才以下の子どもであるといわれています。

症状の段階

円形脱毛症は段階によって症状に特徴があります。特に初期段階では、まだ円形脱毛症の自覚はありません。チェックポイントに複数当てはまるようなら、円形脱毛症を疑いましょう。

初期症状

特徴
 ✓何の兆候もなく突然脱毛が起きた
 ✓頭部に地肌が見えるところがある
 ✓境界線がはっきりしている円形または楕円形の脱毛斑がある
 ✓爪の表面に点状のへこみがある
 ✓アトピー性疾患がある

脱毛以外にも、円形脱毛症になると爪が点状にへこむ異常が見られることも特徴です。また、アトピー素因を持つ人は円形脱毛症になりやすいと考えられています。

進行中の症状

特徴
 ✓枕に数本以上の抜け毛がある
 ✓脱毛斑の周囲の毛を引っ張ると痛みもなく簡単に抜ける
 ✓抜け毛の毛根が、細く尖っている
 ✓脱毛斑が広がってきた

初期症状に当てはまり、これらの症状も見られる場合は円形脱毛症が進行していると考えられます。早めにクリニックを受診しましょう。

回復期の症状

特徴
 ✓脱毛斑の一部に細く短い毛が生えてきた
 ✓脱毛斑の周囲の毛を引っ張っても簡単に抜けない

これらの特徴が見られれば、円形脱毛症は回復に向かっていると言えます。しかし、再発する可能性もありますので、途中で治療を止めず、担当医と相談しながら適切な対応を行ってください。


円形脱毛症の種類

円形脱毛症は一般的に10円玉くらいの大きさで脱毛が起こると思われていますが、実はその種類は様々です。どのような種類があるのか、実際にみていきましょう。

円形脱毛症と聞くとイメージするのがこの「単発型」でしょう。突然、頭髪の一部が円形や楕円形に脱毛し、子どもから老人まで幅広く発症します。脱毛斑は頭髪だけでなく、眉毛や体毛にまで発生するケースもあります。単発型を発症した約80%が1年以内には治癒することが多いですが、まれに「多発型」に移行する場合があります。

多発型

多発型

円形脱毛斑が2つ以上発生するケースを「多発型」といいます。単発型から移行することが多く、再発を繰り返しやすいため、適切な治療を行っても完治するまで半年から2年ほどかかることが多いです。複数の脱毛箇所が繋がって脱毛範囲が広くなることもあります。(多発融合型)

蛇行型

蛇行型

結合した脱毛斑が細長く、後頭部から側頭部の生え際にそって蛇のように広がるタイプを「蛇行型」といいます。治療が数年単位でかかる場合があります。

全頭型

全頭型

「全頭型」まで症状が進行すると、脱毛斑が頭部全体に広がり、最終的に頭髪が完全に抜け落ちてしまいます。非常に治りにくい例が多く、長期間に渡り治療を続けなくてはいけません。ウィッグ(かつら)などを使い、治療をしながら上手く付き合っていく工夫が必要です。

汎発型

汎発型

円形脱毛症の中で最も重症なのがこの「汎発型」です。ここまで症状が進行すると頭髪だけではなく眉毛やまつ毛、体毛など全身の毛が抜け落ちてしまいます。全頭型と同様に治療期間が長期に渡るため、ウィッグ(かつら)を利用することが多いです。

円形脱毛症の原因

ここまで円形脱毛症の症状や種類について説明してきました。では、なぜ円形脱毛症は起こるのでしょうか。現在、円形脱毛症として考えられている原因について解説していきます。

自己免疫疾患

自己免疫疾患

円形脱毛症の原因として近年有力視されているのは、「自己免疫疾患」と呼ばれる病気です。私たちの免疫は本来、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を攻撃して体を守る役割を果たしています。しかし、自己免疫疾患が起こると、この免疫系の働きに異常が生じ、自分自身の体の一部を異物とみなして攻撃してしまうのです。
円形脱毛症はTリンパ球と呼ばれる免疫細胞が、毛根を異物と勘違いして攻撃してしまうために起こっていると考えられています。その結果として攻撃された毛根は傷つき、髪の毛が抜け落ちるのです。しかし、なぜこのような攻撃が起こるのかはまだ解明されていません。

また、円形脱毛症は他の自己免疫疾患と併発することがあります。例えば、甲状腺疾患や尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、重症筋無力症などです。特に甲状腺疾患では約8%、尋常性白斑では約4%の方が円形脱毛症を併発しているとされています。これらの疾患は免疫系の異常が関係しているため、円形脱毛症との関連性が見られるのです。

精神的ストレス

精神的ストレス

円形脱毛症の原因として有名なのはこの「精神的ストレス」でしょう。精神的なストレスを受けると、身体はそれに対抗するために交感神経を活発に働かせます。交感神経は心肺機能を高めたり体温を上げたりする働きがあり、ストレスに対抗するための準備をしてくれます。

しかし、ストレスが強すぎたり長期間続くと交感神経が異常を起こすケースがあります。この結果、血管が収縮し頭部への血流が悪くなり、毛根に十分な栄養が届かなくなるため脱毛が引き起こされると考えられています。
さらに、ストレスは毛根への栄養供給を妨げるだけでなく、様々な疾患の原因となる可能性もあります。「自己免疫疾患」や「内分泌異常」など、ストレスが体内のバランスを崩すことで身体に悪影響を及ぼします。

アトピー素因

アトピー素因

アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患を持っている人のことです。円形脱毛症を発症している方の約40%以上がアトピー素因を持つといわれています。さらに、半数以上が本人もしくは家族にアトピー素因があるケースが多く、深い関連があるとされています。

遺伝的要素

遺伝的要素

遺伝的要素も円形脱毛症の要因として見逃せません。2017年度の日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインによると、中国で行われた大規模な調査によって円形脱毛症患者の約8.4%が同じ病気を抱えている家族がいる、さらに親等が近いほど発症率が高いと報告されています。欧米の調査結果でも、一親等内の発症率は、一般に比べて10倍に及ぶという結果が出ています。円形脱毛症には遺伝的要因が関係する可能性が高いと考えられているため、クリニックを受診する際には、発症している家族がいる場合は併せて報告するようにしましょう。

出産後の女性ホルモンの変化

出産後の女性ホルモンの変化

妊娠から出産後の女性ホルモンの変化が円形脱毛症に関与することもあります。妊娠中は女性ホルモンの一つであるエストロゲンやプロゲステロンなどの濃度が通常の100倍以上に上昇します。これにより髪の成長が促進されるため、通常よりも毛髪が増え、豊かになります。しかし、出産後には女性ホルモンの濃度は通常値に戻ります。この急激なホルモンの変化により、一部の女性では抜け毛が増えることがあるのです。これを産後脱毛といいます。通常は産後3~4ヶ月後に抜け毛が増えますが、中には円形脱毛症となる場合もあります。さらに、アトピー素因を持つ場合にそれが加速されやすいというデータもあります。また、産後は育児の忙しさや睡眠不足、食事の偏りなどの要因も影響を与えることがあり、これらの要素が重なることで抜け毛が増える可能性が高まります。バランスの取れた食事や十分な休息、ストレスケアなどを心がけましょう。必要に応じて専門医の診断と適切な治療を受けることをおすすめします。

円形脱毛症の治療方法

悩まされている人が多い円形脱毛症ですが、根本的に治す方法はまだ確立されていません。しかし、様々な治療法がこれまでに試みられ、それぞれの治療法の効果の高さやリスクなどが明らかになってきています。現在行われている円形脱毛症の治療法をご紹介致します。

内服薬

内服薬

内服薬は抗炎症作用や免疫抑制作用を持つ薬を服用することで、炎症を抑えたり免疫反応を調整することを目的としています。これにより、毛根への攻撃を軽減し、脱毛の進行を抑制する効果が期待されます。ただし、内服薬の効果や副作用は個人によって異なるため、専門医の指導のもとで適切な処方や管理が必要です。

・ステロイド内服
・抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)
・セファランチン
・グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合薬

外用薬

外用薬

外用薬は、患部に直接塗布することで薬物の効果を発揮します。主にステロイドやミノキシジルなどが使用され、炎症の抑制や毛根の刺激を促すことで、脱毛の進行を抑えたり毛髪の再生を促進する効果が期待されます。ただし、外用薬の効果や副作用は個人によって異なるため、正しい使用方法や使用期間を守り、医師の指導に従って使用する必要があります。

・ステロイド外用
・ミノキシジル外用
・塩化カルプロニウム外用(フロジン液)

冷却治療

冷却治療

冷却治療は、ドライアイスや液体窒素などを直接脱毛斑に脱脂綿や綿棒で湿布したり、スプレーすることで、免疫細胞の誤作動を抑えて毛髪の再生を図ります。治療の際、軽い痛みがありますが、簡便で副作用もほとんどない治療法です。

スーパーライザー療法

スーパーライザー療法

「スーパーライザー」という装置を使用して、特殊な赤外線を脱毛斑に照射する治療法です。この治療法は痛みや腫れを鎮める効果があり、円形脱毛症の原因とされる自己免疫反応を緩和し、毛根の再生を促進します。
さらに、スーパーライザーの赤外線は自律神経にも働きかけて血行を良くし、身体全体のバランスを整える効果があります。副作用も少なく、簡単に治療を受けることができるため、患者さまにとって心理的な負担も軽減されるでしょう。

自毛植毛

自毛植毛

自毛植毛は円形脱毛症の治療法の1つであり、自分自身の健康な髪を移植して脱毛した部位に再生させる手法です。側頭部や後頭部から毛が生えている毛包ごと一つ一つ採取し、脱毛斑に直接植え込みます。自毛植毛は高い定着率を持ち、移植された髪は自身の髪と同じように成長し、カットやスタイリングも可能です。毛包ごと移植するため、円形脱毛症のように毛髪が生えてこない箇所の治療として効果的といわれています。

瘢痕とは

瘢痕(はんこん)とはいわゆる傷跡のことです。
転んだ拍子にできた擦り傷や切り傷から、火傷や手術の傷跡などまで様々な要因によって瘢痕ができます。一般的に傷が深いほど目立つ傷になり、浅い傷であっても範囲が広いと気になる状態になります。

瘢痕の種類

瘢痕は、主に以下のように種類分けされます。

成熟瘢痕

最初は赤くて痛い傷も時間が経つと治っていきますが、この経過で残った傷跡を「成熟瘢痕」といいます。成熟瘢痕は基本的に治療は必要ありませんが、顔や前腕、下腿など露出する部位や、禿髪のある頭部の場合には手術による整容的な改善が適応されることがあります。

肥厚性瘢痕

「肥厚性瘢痕」は、炎症が長引いて赤く盛り上がり、みみずばれのような形状を持つ傷跡です。深い傷や関節のある部位にできることが多く、関節の動きによって瘢痕が引っ張られて炎症が起こります。治療では1年から5年程度かけて成熟瘢痕へ移行させるため、ステロイドテープ療法などの保存的な治療が主体となります。痒みや痛みなどの症状があります。

ケロイド

ケロイドは、ケロイド体質によってわずかな傷でも発生する肥厚性瘢痕の一種です。遺伝や人種などの要因が関与し、黒人>黄色人種>白人の順で多く見られます。痛みやかゆみ、赤みなどの症状が肥厚性瘢痕よりも強く現れます。外科的治療は悪化する可能性があるため、耳垂のピアスケロイド以外では原則として手術は行われません。

瘢痕拘縮

瘢痕拘縮は、傷跡が引きつれを起こし、関節や頸部の可動域制限などの機能障害を引き起こす状態です。機能的な改善のため植皮術や皮弁形成術などの手術が適用されます。

頭部に瘢痕ができた場合、毛髪は生えてこない

頭部に瘢痕ができた場合、毛髪は生えてこない

瘢痕ができると皮膚の下にある組織までが線維化してしまい、髪を育てる毛包が破壊されてしまいます。毛包が破壊されると、その部分から毛髪が生えてくることはありません。頭皮に発毛剤を塗ったり、AGAの内服薬治療を行っても改善の見込みはありません。頭皮が目立つ状態になるため、髪を伸ばしたり、髪型で傷跡を隠したりする方も多く見られます。

自毛植毛という選択肢

円形脱毛症を発症してから3年以上、同じ部位から毛髪が生えてこない場合は、薄毛治療クリニックで「自毛植毛」治療を受けることができます。自毛植毛とは、自分自身の健康な毛髪を移植させるという治療方法です。自毛植毛について詳しく解説していきます。

毛が生えない箇所への移植も可能

毛が生えない箇所への移植も可能

自毛植毛が円形脱毛症や瘢痕の治療法としておすすめな理由は、毛が生えない箇所への移植が可能という点です。毛髪が生える毛包ごと移植するため、円形脱毛症のピンポイントで気になる部位や瘢痕により毛包が破壊された部位にも有効です。生え揃うまでに時間はかかりますが、細胞が馴染みさえすれば、万が一そこから毛が抜けてもまた同じように毛が生えるようになります。

自毛植毛の仕組み

自毛植毛の仕組み

自毛植毛では毛髪だけでなく、毛の成長を促す毛母細胞を含む「毛包」と呼ばれる組織ごと採取します。この皮膚組織のひとまとまりを「グラフト」もしくは「株」と呼び、採取したグラフトを薄毛の部分に植え込みます。植え込んだ後も組織内の毛母細胞は生き続けるため、植え込んだ後も血液が供給され、毛髪はこれまで通り成長しつづけるのです。

メリット・デメリット

メリット・デメリット

自毛植毛は自分自身の毛髪を使うため、拒絶反応がありません。移植した後も毛髪は成長し、半永久的に生え変わり続けるため、今まで通りカラーやパーマなど好きなヘアスタイルを楽しめます。また、他の治療と違い1度の施術で完了し、メンテナンスが不要なため、定期的な通院や費用がかからない点もメリットです。その一方、人によっては一時的に移植した周囲の髪が抜け落ちるショックロスが起こったり、術式によってはドナー採取元を刈り上げる必要がある点はデメリットといえるでしょう。また、他の治療法に比べて1度にかかる費用は安くはありません。しかし、ショックロスは一時的なものということ、刈り上げない術式の利用や継続治療が不要のため長期的に見れば安いということを考慮すると、メリットの方が大きいでしょう。

費用の目安



自毛植毛の費用はドラフト数によって大幅に変わります。1ドラフトあたりの単価が安くても、移植する範囲が広ければそれだけ本数が必要になるため、高額になる傾向にあります。また、保険適用外の自由診療になるためクリニックによって費用が異なります。親和クリニックの費用の目安は以下の通りです。あくまで目安ですので、詳しい費用が知りたい場合は無料カウンセリングにお越しください。

瘢痕への自毛植毛症例

瘢痕への自毛植毛症例

1人で悩まずクリニックへ

円形脱毛症や瘢痕は髪型によっては非常に目立つため、悩みを抱えている方が多いと思います。親和クリニックの自毛植毛なら今までと同じように、自分自身の毛髪を生やすことが可能です。1人で悩まず、ぜひ無料カウンセリングにお越しください。

名古屋院長 福島 俊彦

【記事監修】名古屋院長 福島 俊彦

経歴

  • 平成2年 福島県立医科大学医学部 卒業
  • 平成6年 福島県立医科大学大学院 修了(医学博士)
  • 平成8年 福島県立大野病院 勤務
  • 平成15年 国立郡山病院 勤務 医長就任
  • 平成22年 福島県立医科大学医療工学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成22年 福島県立医科大学附属病院 医療安全管理部 副部長 兼任
  • 平成25年 福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成28年 親和クリニック 勤務
  • 平成29年 親和クリニック名古屋 院長就任

挨拶

円形脱毛症や瘢痕による脱毛にお悩みの方に向けて、治療法や原因などを解説しました。親和クリニックの自毛植毛なら毛包が破壊されてしまった円形脱毛症や瘢痕によって生えなくなった頭皮への移植も可能です。 コラムを読んで少しでも自毛植毛に興味をお持ちいただけましたら、カウンセリングと診察にお越しください。