自毛植毛後に起こるショックロスとは?

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自毛植毛は、薄毛やAGAの悩みを解消する有効な治療法として知られています。しかし、その一方で自毛植毛後に起こる可能性のある「ショックロス」については、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。ショックロスは、自毛植毛手術後に一時的に毛が抜け落ちる現象で、個人差はあるものの多くの患者さんが経験しています。この記事では、ショックロスが発生する確率や原因、期間、予防法について詳しく解説いたします。大事なのは心構えをしておくこと。ショックロスがどういうものか予め知っておけば、心配することはありません。ぜひご参考ください。

まずは、親和クリニックの図師先生が「ショックロス」について解説


ショックロスとは?

ショックロスとは?

ショックロスとは自毛植毛の手術後に、移植した「周辺の毛髪が一時的に抜けること」をいいます。髪全体が抜ける訳ではなく、大体10%〜15%ほどと言われています。しかし、15%ほど抜けたとしても見た目ですぐに分かるものはありません。また、この現象は一時的なもので、一定期間が過ぎれば、また元のように毛髪は自然に再生しますのでご安心ください。しかし、この事象を知らなければ、突然抜け落ちた毛髪に驚き、不安に感じることでしょう。それがショックロスであると理解していれば、一時的な現象であると知っているため、適切なケアを行いつつ、新しい毛が生えてくるのを安心して待つことができるのです。

「脱落」と「ショックロス」の違い

ショックロスと混同されやすい現象に「脱落」というものがあります。脱落も自毛植毛の手術後に毛髪が抜け落ちますが、こちらはショックロスと違い、「移植した毛髪そのものが抜け落ちる」ことを指します。脱落は移植した毛髪がきちんと生着していないことによって起こる現象で、抜け落ちた後に生えてくることは少ないです。一方、ショックロスは一時的な抜け毛のため、時間が経てばまた新しく生えてきます。

脱落    ・・・移植した毛髪そのものが抜ける。新しく生えてくることは少ない
ショックロス・・・移植した箇所周辺の毛髪が抜ける。時間が経てばまた生えてくる

ショックロスが起こる確率

ショックロスは自毛植毛を行った方全員に起こるものではありません。発生する確率は一般的に「20%」とされています。これは決して低い数字ではないですが、この中には軽度の抜け毛のケースも含まれています。そのため、手術前に比べて薄毛が目立つという心配は少ないでしょう。

また、特にショックロスが発生しやすいとされるのは、髪の毛が弱い状態の場合です。しかし、ショックロスの発生については医学的にまだ完全に解明されておらず、医師であっても事前にその可能性を完全に予測することは難しいとされています。20%という数字も抜け毛が明らかに増えている方を対象にしたデータであって、多かれ少なかれ植毛後には抜け毛が起こるという見解の医師もいます。ショックロスの原因は完全には明らかになっておらず、発生の可能性や程度、期間は個々のケースによると言えます。ただし、ショックロスが起こった場合でも一定期間が経てば新しい毛髪が生えてきますので、過剰なストレスを抱くことなく落ち着いて対処しましょう。

部位によって確率は変わる?

部位によって確率は変わる?

ショックロスが発生する確率や症状は、植毛する部位によって変わることは一般的にはありません。あくまで個人差によるものと考えられています。個々の体質や生活習慣、ケアの方法などにより、ショックロスの症状の程度、回復までの期間は異なることがあります。そのため、自毛植毛手術を検討する際は、手術を行うクリニックや医師と十分にコミュニケーションを取り、ショックロスについての理解を深めることが重要です。

女性の方が可能性が高い?

女性の方が可能性が高い?

男性より女性の方がショックロスが起こる確率が比較的高いと言われています。これは、女性は全体的に抜け毛が増えるびまん性脱毛症が理由で自毛植毛を行うことが多く、広範囲に渡りまんべんなく移植するため、それだけ影響を受ける毛髪が多いと考えられているからです。

ショックロスの期間

ショックロスの期間

ショックロスの程度や期間は個人差により大きく異なりますが、時期や期間について理解することは自毛植毛手術後の過程を安心して過ごすために重要なポイントです。
おおよその時期は以下の通りですのでご参考ください。

起こる時期

ショックロスの多くのケースは手術後3〜4ヶ月頃までに見られており、早いと手術後2〜3週間で起こることもあります。ただし、必ずしもこの時期に起こる訳ではなく、個人差によりケースは様々です。また、同じ人でも手術を複数回受けた場合に、それぞれショックロスの程度が異なることがあります。
初回の手術では気にならなかったのに、2回目の手術後にショックロスが起こることもあるのです。しかし、いずれも一時的な現象。この時期が過ぎると抜け毛の量はいつも通りに落ち着き、やがて新しい毛髪が生えてきます。

回復する時期

ショックロスには個人差がありますが、大体半年〜1年程で元の状態に戻ることが大半です。術後4ヶ月〜半年経過頃が回復期とされており、徐々にショックロス部分にも毛髪が生え揃い、目立たない状態になってきます。ショックロスによって毛髪が抜けても毛根の組織は傷つかずに残っているため、必ず新しい毛髪が生えてきます。もちろん早い時期からいつも通りとはなりませんが、ゆくゆくは元通りになりますのでご安心ください。

経過日数

状態の変化

術後1週間~

移植した毛髪が安定する

術後2週間~

激しいスポーツやサウナなど普通の日常が送れる

術後2~3ヶ月目

移植した毛髪の90%ほどが抜け落ちる(脱落、ショックロス)

術後4ヶ月〜6ヶ月目

回復期。脱毛した箇所に新しい毛髪が生え始める

術後6ヶ月~

ほぼすべての移植した毛髪が発毛し、太く長く伸びる

自毛植毛の効果を実感しやすい時期

術後9ヶ月目~

明らかな発毛、育毛を実感

術後12ヶ月目~

移植した毛髪の密度・太さ・長さが十分に成長し、1つの完成系となる

ショックロスの原因とは

なぜショックロスは起こるのでしょうか?様々な原因が考えられていますが、実は医学的に正確なことはまだ完全に解明されておりません。現在も研究が進められておりますが、考えられている主な要因や可能性は以下の通りです。

 ①手術時の麻酔が毛髪の成長を一時的に停止させるために起こる
 ②移植された毛髪の周囲の組織が炎症を起こしたために起こる
 ③手術のストレスが影響を及ぼし起こる

親和クリニックでは、事前のカウンセリングにてショックロスについての説明を丁寧にさせていただいております。しかし、実際にショックロスが起こった時は分かっていても不安や心配が大きいでしょう。ショックロスは一時的なもので必ず新しい毛髪が生えてきます。あまり気にしすぎるとそれ自体がストレスとなって毛髪に悪影響を与える可能性もありますので、正しいケアをしながら落ち着いて過ごしましょう。親和クリニックにもいつでもお気軽にご相談ください。

ショックロスの予防法

ショックロスの予防法

ショックロスを防ぐための方法はいくつか提唱されています。中でも内服薬・外用薬は医学的にも比較的有効と考えられています。また、薬物治療以外にも手術の効果を発揮するために正しいケアや栄養素を意識した食事なども推奨されています。それぞれ詳しく解説していきます。

適切なケア方法

適切なケア方法

自毛植毛後のケアは、手術の成功と長期的な結果に大きく影響するとされています。特に頭皮を清潔に保つことを意識して過ごしましょう。頭皮が汚れていると移植した毛髪が頭皮にしっかりと定着するのが難しくなります。洗浄力の強すぎないシャンプーを使用し、指の腹を使って優しく洗って清潔に保ちましょう。さらに、頭皮へのマッサージも有効とされています。マッサージによって血行が良くなり、毛髪の成長に必要な栄養素が毛包に届きやすくなるからです。ただし、手術直後は患部に強い力を加えることは避け、かさぶたが自然に落ちるまで頭皮を優しく扱うようにしてください。

栄養素を意識した食事

栄養素を意識した食事

自毛植毛後は栄養素を意識した食事を積極的に摂るようにしましょう。
健康な毛髪の成長には、ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養素が必要不可欠です。
特に、ビタミンや亜鉛および鉄、タンパク質は髪の毛の健康に直接関わる栄養素といわれています。
これらの栄養素をバランス良く摂取することで、毛髪の成長をサポートしてショックロスのリスクを低減できるとされています。

タンパク質

三大栄養素の1つで髪の原料。納豆や卵、鶏の胸肉などがおすすめ

ビタミンA、B、E

髪の毛の成長や頭皮環境を整える。わかめやレバー、牛乳、バナナ、アボカドやうなぎなどがおすすめ

亜鉛

必須ミネラルの1つで体内のアミノ酸を毛髪の原料であるケラチンへ再合成する。牡蠣やレバー、納豆などがおすすめ

医師に相談

医師に相談

手術後は経過を医師と共有し、必要なケアや対策を都度相談することで、より手術の効果を引き出せるとされています。ショックロスが目立ったり、頭皮の状態に変化があった場合、また、不安や心配が大きい時は親和クリニックまでご連絡ください。患者さまお一人ひとりの状態に合わせてアドバイスさせていただきます。1人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

ショックロスを隠す方法

自毛植毛に伴ってショックロスが起こった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。一時的なもので一定期間が経てば元に戻るとはいえ、気になってしまいますよね。ショックロスを隠すには次の方法があります。

ケラチンパウダーを利用する

ケラチンパウダーを利用する

ケラチンパウダーは繊維からできている人工毛の粉末(ふりかけ)です。髪の毛の主成分であるケラチンを粉末化したもので、薄毛部分に振りかけることで髪の毛を一時的に太く見せることができます。使用方法は簡単で、薄毛部分に直接振りかけて、ブラシや手でなじませるだけです。自然な仕上がりと持続性があり、シャンプーや水にも強いため、一日中安心して使用することができます。人工毛の粉末は、頭皮に付着しているだけで毛穴に入る大きさではないため、移植した毛髪や頭皮には影響ありません。ただし、頭皮の質によってはかゆみが出ることもあるので、刺激の少ないスプレータイプや医師の指導下で利用するのがおすすめです。

帽子やかつらを利用する

帽子やかつらを利用する

ショックロスで抜けた毛髪はやがては生え揃いますので、それまでの間は帽子を被ったり、ウィッグやかつらを利用するのが最も手軽にできる方法です。帽子はカジュアルなスタイルに合わせやすく、かつらは自然な見た目を保つことができます。ただし、かつらは適切なケアが必要で、定期的に洗浄やメンテナンスを行うことが重要です。また、夏場など暑い時期は被れないように注意しましょう。

髪型を工夫する

髪型を工夫する

髪型を工夫してショックロスを隠す方法もあります。オールバックなど毛を撫でつける髪型は薄毛が目立ってしまいます。整髪料を使わずにふんわりと仕上げるなど工夫すると良いでしょう。ただし、髪の毛に負担をかけすぎないように注意し、頭皮や髪の毛のケアを怠らないようにしましょう。

ショックロスは心構えが大事

ショックロスは心構えが大事

ショックロスについて詳しく解説いたしました。繰り返しになりますが、ショックロスは自毛植毛手術後に起こる可能性がある現象で、一時的に毛髪が抜け落ちることを指します。しかし、この現象は一時的なものであり、時間が経てば新しい毛髪が生えてきます。そのため、ショックロスが発生したとしても過度に心配する必要はありません。むしろ、ショックロスが起こることを事前に理解し、その対処法を知っておくことが大切です。ショックロスは手術の一部と捉え、適切なケアを行いつつ新しい毛髪の成長を待つ心構えが必要です。適切な知識と心構えを持つことで、ショックロスによるストレスを軽減し、手術後の過程をより安心して過ごすことができます。

不安になったらクリニックに相談

自毛植毛手術後、ショックロスによる抜け毛が見られたり、頭皮に異常を感じたりした場合、不安に思うことは自然な反応です。しかし、そのような時は無理に自己判断をするのではなく、専門的な意見を求めることが重要です。手術を行ったクリニックの医師やスタッフに相談することで、専門的なアドバイスを得ることができます。また、自分の症状が通常の範囲内なのか、それとも何か問題があるのかを確認することも可能です。不安な症状があれば、早めにクリニックに相談し、適切なケアや対処法を学びましょう。

名古屋院長 福島 俊彦

【記事監修】名古屋院長 福島 俊彦

経歴

  • 平成2年 福島県立医科大学医学部 卒業
  • 平成6年 福島県立医科大学大学院 修了(医学博士)
  • 平成8年 福島県立大野病院 勤務
  • 平成15年 国立郡山病院 勤務 医長就任
  • 平成22年 福島県立医科大学医療工学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成22年 福島県立医科大学附属病院 医療安全管理部 副部長 兼任
  • 平成25年 福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成28年 親和クリニック 勤務
  • 平成29年 親和クリニック名古屋 院長就任

挨拶

自毛植毛は、薄毛治療の代名詞として多くの方々に浸透してきました。1回の施術で薄毛の悩みが解消される治療ではあるものの施術を受けた多くの患者さまが、治療の過程でショックロスという一時的に毛が抜け落ちる現象をご経験されています。ショックロスについて予め理解して備えておくことで、不安や心配が軽減されるのではないでしょうか。