ミノキシジル【外用薬編】

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AGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛治療には様々な方法があります。
中でも外用薬として使用されるミノキシジルは発毛や育毛に効果的として知られています。
本記事では、ミノキシジルをはじめとする外用薬の効果や使い方、注意点などAGA治療に有効とされる外用薬について解説します。

薄毛改善の治療薬「ミノキシジル外用薬」

薄毛改善の治療薬「ミノキシジル外用薬」

ミノキシジル外用薬はAGA治療に用いられる液状の薬です。元々は血圧降下剤として開発されましたが、体毛が濃くなる作用が発見されたために、薄毛やAGA治療に活用されています。ミノキシジルの効果や仕組みについて詳しく見ていきましょう。

ミノキシジルって何?

ミノキシジルは、血管拡張効果があることから元々は高血圧症患者向けの血圧降下剤として、米国のファルマシア・アップジョン社(現・ファイザー株式会社)が1960年代に開発しました。しかし、開発段階の臨床実験中に体毛が増えたり濃くなったりする多毛症の副作用が報告されたため、薄毛治療用としても使われるようになりました。現在では、ミノキシジルが含まれる薄毛治療用の外用薬が世界中の製薬会社から発売されており、日本でもAGA(男性型脱毛症)治療に効果が認められ、外用薬として認可されています。一般的にはミノキシジル濃度2%〜5%のものが使用され、医師の診察と処方により5%を超える濃度のものも使用可能です。ただし、含有量が多ければ多いほど大きな改善効果を見込めますが、副作用のリスクも高まるため、専門クリニックでの検査や医師の診断がなければ入手できません。自己判断で使用することは避け、医師の指導に従って使用するようにしましょう。

ミノキシジルの効果

ミノキシジルは薄毛が気になる箇所の頭皮に直接塗布することで、毛母細胞が刺激され細胞分裂が活発になり、発毛や育毛が促進されます。中でも頭頂部や前頭部に対して高い効果を発揮することが認められています。

毛母細胞や毛乳頭細胞に栄養を届ける

ミノキシジルは血管拡張作用によって頭皮や毛根への血流を改善し、髪の毛を作る毛母細胞や毛乳頭細胞に、より多くの栄養素や酸素を供給します。この結果、AGAを発症していた薄毛・抜け毛が目立つ頭皮が活性化され、発毛や育毛の効果が期待できるようになります。特に、頭頂部や前頭部の毛根には血流が少なく、血管が細かいため、ミノキシジルが血管を拡張し、栄養素や酸素を毛根に届ける効果が高まるとされています。また、円形脱毛症を始め、ほとんどの脱毛症に効果があるとされています

発毛を促進する発毛シグナルを産出

ミノキシジルは、発毛シグナルと呼ばれる物質を作り出し、毛母細胞の分裂を促進して育毛・発毛を促します。具体的には、「インスリン様成長因子1(IGF-1)」や「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」など、細胞の成長や発達を促進し、血管を新しくする働きがある物質を作り出す仕組みを助ける作用があるとされています。これにより、AGAの症状で弱っていた毛母細胞を活性化させ、育毛・発毛の効果を得ることができるのです。

毛周期(ヘアサイクル)を整える

ヘアサイクルは髪の毛が生える周期のことで、成長期、退行期、休止期の3つの段階に分かれています。AGAを発症すると成長期が短くなり退行期や休止期が長くなります。そうすると髪の毛が十分に育たず細く弱々しくなり、抜け毛が増えていくのです。

ミノキシジル外用薬は毛乳頭細胞を刺激して、成長期を延長する作用があるとされています。ミノキシジルが作用することで毛乳頭細胞に含まれる「ATP」が分泌され、これが髪の毛の成長に必要なシグナルを発生させます。また、ミノキシジルが毛乳頭細胞の分裂を促進することで、毛乳頭細胞の数を増やすことができ、さらに成長期を延長することができます。

このように、ミノキシジル外用薬は毛乳頭細胞を活性化させ、ヘアサイクルを整えることで、髪の毛の成長を促進する効果が期待されています。

日本皮膚科学会が認める高い発毛効果

多くの臨床試験によってミノキシジルの発毛効果が確認されており、日本皮膚科学会は男性型脱毛症および女性型脱毛症の診察ガイドラインにて推奨度Aに認定しています。これは効果の高いAGA治療薬として強く推奨しているということを意味します。その発毛効果は世界的にも認められ、ミノキシジルはAGA治療の標準的な薬剤として使用されているのです。

以下は臨床試験の一例です。ミノキシジルを外用したグループは、ブラセボ(偽物の薬)を外用したグループよりも明らかに発毛効果が実証できています。

男性被験者393名

観察期間 48 週までのランダム化比較試験※

プラセボ群

平均 3.9 本

2%ミノキシジル群

平均 12.7本

5%ミノキシジル群

平均 18.6 本

※脱毛部1cm2内の非軟毛数のベースラインからの増加

AGAには効果がある?

高い効果が期待されているミノキシジル外用薬ですが、即効性はなく、効果を実感するには3ヶ月から半年程度の時間が必要です。また、ミノキシジル単体ではAGAの改善効果は期待できないため、デュタステリドやフィナステリドなどの内服薬と併用することが推奨されています
さらに、ミノキシジルでもAGAによって死滅した毛根は復活しないため、既に薄毛が進行してしまった場合には自毛植毛が唯一の対策となります。
ミノキシジルは薄毛対策の1つですが、薄毛治療の専門医と相談し、薄毛の原因や進行状況と併せて使用することをおすすめします。場合によっては、内服薬の併用や自毛植毛手術など、より効果的な治療法も検討するといいでしょう。

ミノキシジルの副作用

ミノキシジルの副作用

ミノキシジルには稀ではありますが副作用があります。血圧が下がって発現する頭痛やめまいなどの症状、接触によって発現するかゆみなどが主に報告されています。副作用が起こる頻度は高くありませんが、もし症状が出た場合には医療機関で医師の診断を受けるようにしましょう。

ミノキシジルを使用する前には、高血圧や低血圧、狭心症などの方は安全のために医師に必ず相談しましょう。また、アルコールは血圧を一時的に下げる作用があるため、飲酒時にミノキシジルを使用することは避けてください。

血圧が下がることによってでる症状

ミノキシジルの血管拡張作用によって血圧が下がる可能性があります。その場合、主に以下の症状が出ることがあります。
※()内は平成21年2月23日のミノキシジルの承認日以降に行われたモニター調査による各副作用の発現頻度

1. 頭痛(0.33~0.38%)
2. 浮動性めまい(0.20~0.25%)
3. 体位性めまい(0.03%)
4. 動悸(0.2%)
5. 感覚鈍麻(0.03%)

頭痛やめまいは脳への血流が減少して起こり、脱力感や倦怠感などの症状は全身に酸素や栄養が行き渡りにくくなることによって引き起こされます。他にも、脳への血流が不足し、視覚異常や失神などの症状が現れることがあります。

血行がよくなることででる症状

ミノキシジルを頭皮に塗布することで、血行が改善され、肌が弱い方などに主に以下の症状が発現しやすくなります。
※()内は平成21年2月23日のミノキシジルの承認日以降に行われたモニター調査による各副作用の発現頻度

1. かゆみ(2.53~4.04%)
2. 炎症(0.06~0.07%)
3. にきび(0.06~0.10%)
4. 肌荒れ(0.06%)
5. ほてり(0.03~0.06%)

血行が良くなり体内の血液が運ばれることによって皮膚表面が刺激を受けやすくなったり、免疫細胞が炎症を引き起こしたりしますが、全体的に症状が起こることは稀です。

ミノキシジルの注意点

医師の診断と処方を受ける

医師の診断と処方を受ける

ミノキシジルを使用する際は、医師の診断と処方を受けることが重要です。ミノキシジルは市販品もあり、個人輸入も可能ですが、偽造品を購入したり、副作用が現れたりするリスクがあります。
特にミノキシジルの内服については、日本皮膚科学会が推奨できないと結論付けています。自己判断での服用は避け、医師の指示に従うようにしてください。

また、以下に該当される方は使用を避けてください。
・心臓病の方
・未成年の方
・頭皮にトラブルのある方
・高血圧の治療薬を服用している方

効果が現われるまでやめない

効果が現われるまでやめない

ミノキシジルの効果が現れるには少なくとも3ヶ月から半年程度の期間が必要です。ミノキシジルに限らず、AGA治療薬の多くが使用開始から効果を実感するまでの期間に個人差があり、人によっては1年単位の期間が求められるケースもあります。この期間中は効果を実感することがほぼないため、途中で治療を中断してしまう方が多く見られます。
しかし、髪の毛は1ヶ月に1センチ程度しか成長しないため、急いで効果を求めることはできません。AGAは進行性の病気です。途中で使用を中断すると、また薄毛が進行してしまいます。
3ヶ月から半年程度の長期的な期間をかけて、ミノキシジルの効果が現れるまで根気よく治療を続けることが大切です。

AGAの進行は抑えられない

AGAの進行は抑えられない

ミノキシジルは発毛・育毛を促す薬のため、AGAの進行を止める効力はありません。AGAの進行を抑えるには、デュタステリドやフィナステリドといった内服薬と併用して治療を行う必要があります。
また、ミノキシジルや内服薬にはすでに毛根が死滅している部分に新たに毛髪を生やすことはできません。ミノキシジルによって一時的に毛髪が増えることはあっても対処療法に過ぎず、根本的にAGAを改善したい場合は自毛植毛を検討しましょう。

薄毛を改善するポイント
・AGAの進行を止める
・発毛を促す
・髪が生えない部分には自毛植毛をすること

ミノキシジルの使用方法

ミノキシジルの使用方法

ミノキシジルを含むAGA治療薬にはローションタイプやゲルタイプなど、いくつかの種類があります。使用方法は製品や容量によって異なりますが、一般的には1日2回、薄毛が気になる部位の頭皮に直接塗布することが推奨されています。朝と夜に1回ずつ使用すると最も効果的です。一度の使用量は治療薬の種類によって異なるので、注意書きを確認し用法・用量を必ず守るようにしてください。
実際に塗布してみると、少量でも効果があることが分かります。脱毛範囲が広い場合でも、1回あたりの使用量を守りながら、範囲を計算して塗布してみることをおすすめします。ローションタイプは垂れやすいため、少しずつ塗るといいでしょう。ゲルタイプの場合は、患部から短時間で流れ落ちることなく、長時間滞留させることができます。全体に塗布したら軽く頭部をマッサージしてください。また、使用中および使用直後は、火気を避けるようにしましょう。喫煙も厳禁です。

内服薬と外用薬の違い

前述した通りAGA治療には内服薬と外用薬を併用することがあります。内服薬と外用薬の違いについて見ていきましょう。

プロペシアの特徴

プロペシアの特徴

プロペシアは、前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、副作用の1つとして発毛効果が見られたためAGA治療薬としても用いられるようになりました。5α-リダクターゼを阻害し、テストステロンのDHTへの変換を防ぐ効果があります。副作用としてリビドー減退や勃起不全、射精障害が報告されています。

ザガーロの特徴

ザガーロの特徴

ザガーロは前立腺肥大症の治療薬として使われており、デュタステリドを含有する内服薬です。I型とⅡ型の5α-リダクターゼを阻害することで、より高い改善効果が期待できます。プロペシアと同様にリビドー減退、勃起不全、射精障害が報告されています。肝臓によって代謝されるため、肝機能が弱っている方の服用は控えましょう。また、妊娠中の服用も胎児の発育に悪影響を及ぼします。服用は避け、ご家族に治療中の方がいても素手で錠剤に触れないように注意してください。

プロペシアやザガーロと併用する場合

プロペシアやザガーロと併用する場合

異なる作用機序を持つ治療薬であるため、ミノキシジルはプロペシアやザガーロと併用できます。プロペシアやザガーロはDHT生成を防ぎ、ヘアサイクルを正常化する効果があり、ミノキシジルの発毛効果を加えることでより効果的になります。ザガーロは広範囲の薄毛に効果があるため、ミノキシジルと併用すると特に有効です。ただし、効果を実感するまでの期間や副作用の発現には個人差があるため、事前に検査を受けることを推奨します。また、効果が出るまで最低6ヶ月以上使い続けましょう

市販薬とクリニックの違い

ミノキシジルは一般用医療品に分類されています。市販のミノキシジル外用薬やクリニックから処方されるミノキシジル外用薬は、OTC医薬品分類で言うと第一類医薬品になります。

主な市販薬

ドラッグストア等で購入できる主な市販薬は以下の通りです。

商品名

有効成分

リアップ、リザレックコーワなど

ミノキシジルのみ

リアップX5プラスネオ、リアップジェット、ヘアキシジル<レディース>など

ミノキシジル+他の成分配合

有効成分

作用

ミノキシジル

発毛・育毛効果、脱毛の予防

ピリドキシン塩酸塩

皮脂の過剰分泌を抑制

トコフェロール酢酸エステル

皮脂の酸化防止、血行促進

パントテニルエチルエーテル

毛細胞への栄養補給

成分濃度の違いはない

日本で販売されているミノキシジル外用薬の成分濃度は1%と5%で、どちらもドラッグストアで購入する場合でも、クリニックを受診して処方してもらう場合でも同じです。
海外では10%のミノキシジル外用薬も販売されていますが日本では未承認です。

クリニックで処方してもらうメリット

市販薬と処方薬で成分濃度に違いはないのに、クリニックでの処方が推奨される理由は何でしょうか。そのメリットについて解説します。

①プロペシアやザガーロの処方ができる

ミノキシジルは毛根に直接作用し、発毛を促進する一方で、プロペシアやザガーロはAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する治療薬です。異なる作用機序を組み合わせることで、より効果的なAGA治療が期待できます。ただし、プロペシアやザガーロは医師の診察と処方が必要です。より効果的なAGA治療を行いたい場合はクリニックを受診しましょう。

②副作用が出た場合に医師に相談できる

使用した薬に副作用が出た場合、クリニックを受診していれば専門的な知識を持った医師から適切な処置を受けることができます。

③症状に合わせた処方ができる

クリニックではAGAの進行度合いや症状などを考慮して、最適な治療薬を提案することができます。これにより効果的な治療が期待でき、正しい使用方法や注意点などもしっかりと説明されるため、安心して治療を進めることができます。

外用薬の費用

親和クリニックの外用薬の費用をご紹介いたします。
※ハイブリッドミノキシジル・・・親和クリニックの中山医師が開発に携わり、通常のミノキシジルよりも成分の粒子が細く患部により浸透しやすくなっているため高い効果が期待されている

単剤の料金表

薬名

1ヶ月分

3ヶ月分

6ヶ月分

ハイブリッドミノキシジル

13,200円

39,600円

71,280円

内服薬・外用薬のセットの料金表

薬名

1ヶ月分

3ヶ月分

6ヶ月分

デュタステリド 0.5mg+ハイブリッドミノキシジル

18,480円

55,440円

99,792円

デュタステリド 0.1mg+ハイブリッドミノキシジル

22,000円

66,000円

118,800円

プロペシア+ハイブリッドミノキシジル

21,780円

65,340円

117,612円

フィナステリド+ハイブリッドミノキシジル

18,480円

55,440円

99,792円

早めにクリニックを受診しましょう

薄毛が気になり始めたらクリニックを受診しましょう。薄毛の原因がAGAに由来する場合、時間が経てば経つほど薄毛は進行します。ミノキシジル外用薬は発毛や育毛を促進しますが、AGAの進行を止める効力はありません。根本的な改善には内服薬との併用治療や自毛植毛の検討が必要です。症状が悪化する前に適切な治療プランを相談しましょう。

名古屋院長 福島 俊彦

【記事監修】名古屋院長 福島 俊彦

経歴

  • 平成2年 福島県立医科大学医学部 卒業
  • 平成6年 福島県立医科大学大学院 修了(医学博士)
  • 平成8年 福島県立大野病院 勤務
  • 平成15年 国立郡山病院 勤務 医長就任
  • 平成22年 福島県立医科大学医療工学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成22年 福島県立医科大学附属病院 医療安全管理部 副部長 兼任
  • 平成25年 福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成28年 親和クリニック 勤務
  • 平成29年 親和クリニック名古屋 院長就任

挨拶

薄毛の改善に効果があると広く知れ渡ってきた「ミノキシジル」ですが、まったく副作用がないわけではありません。ミノキシジルを含む、外用薬の効果やリスク・副作用を解説いたします。