AGA・治療対策【毛髪再生治療編】

  1. 親和クリニック名古屋院
  2. 親和クリニック名古屋院コラム
  3. AGA・治療対策【毛髪再生治療編】

薄毛や抜け毛で悩む方にとって、近年注目を集めているのがHARG療法や幹細胞を使った再生治療です。AGAや薄毛治療に特化しており、従来の治療法と比較して効果が高いとされています。
また、安全性にも配慮されており、治療を行うには厚生労働省の許可を受ける必要があります。短期間で結果が現れやすく、多くの人々から支持を集めています。HARG療法や幹細胞を使った再生治療を検討することで、自信を取り戻し、豊かな髪を手に入れることができるかもしれません。
詳しく解説していきますので、ぜひご参考ください。

毛髪再生治療とは

比較的新しい治療法のため、「毛髪再生治療」という言葉を聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。「毛髪再生治療」は成長因子を含む薬剤を頭皮に注入することによって毛母細胞を活性化させることができます。毛母細胞は、毛髪の成長を促す役割を持っており、注射器で頭皮に直接薬剤を注入するため、より直接的に効果が期待できるのです。薄毛や抜け毛に悩む人々にとって画期的な治療法であり、近年注目度が高まっている薄毛治療です。

厚生労働省の許可制

厚生労働省の許可制

再生医療はこれまで有効な治療法のなかった疾患の治療ができるようになるなど期待が高い治療法ではありますが、新しい医療であることから安全性を確保したうえで提供する必要があります。幅広い分野において効果が期待されているため、平成26年11月25日に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されました。再生治療を提供する場合は厚生労働省の許可がないと治療を行うことができません。再生治療に使用される機器や薬剤について、厚生労働省が安全性・有効性・品質などを審査を行い許可を出しています。許可が下りた機器や薬剤を使用することで、医療の質を確保し患者さまの安全性を守ることができるのです。

再生治療は比較的新しい治療法であり、その効果やリスクがまだよく分かっていない場合もあります。許可制度を設けることで医療機関や医師による再生治療の適切な実施や、患者への適切な説明などを求め医療の安全性を確保することができるのです。

毛髪再生治療と再生治療の違い

毛髪再生治療と再生治療の違い

毛髪再生治療と再生治療は、いずれもPRP(血小板富化血漿療法)を中心とした治療法ですが、その対象となる疾患や部位が異なります。

毛髪再生治療は、AGA(男性型脱毛症)や薄毛の治療を目的とした治療法で、頭皮にPRPを注入することで毛髪の再生や発毛を促進する効果が期待されます。一方、再生治療は主にスポーツ外傷や関節疾患などの治療を目的とした治療法で、怪我をした部位にPRPを注入することで、炎症を抑制し組織の再生や修復を促す効果が期待されます。

また、毛髪再生治療は専門的な機器を用いて治療を行う場合が多く、比較的時間と費用がかかりますが、再生治療は比較的簡単な操作で治療を行うことができるため、施術時間や費用が比較的低く抑えられる傾向にあります。

再生治療の種類

毛髪再生治療には血液から取り出した成分を使用するもの、細胞を培養して再生するものなど数種類の方法があります。それぞれの方法によって治療効果や費用、治療期間が異なるため、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

毛髪再生治療の種類

①PRP(血小板富化血漿療法)

②HARG療法

③幹細胞治療

PRP(血小板富化血漿療法)

PRP(血小板富化血漿療法)

PRPとは、自身の血液から抽出した血小板を豊富に含む血漿を頭皮に注入し、細胞を再生・活性化させる治療方法です。
先天性や後天性によりダメージを負ってしまった細胞や組織の機能を修復することを目的としています。血小板の中には細胞の再生や修復に必要な成分が含まれているため、薄毛が気になる箇所に注入することで頭皮の細胞の再生を促進する効果が期待できるのです。PRPは副作用が少なく安全性が高い治療法として、ヨーロッパやアメリカで頻繁に取り入れられており注目されています。頭皮細胞から再生させることで継続的な効果も期待されているため、薄毛や抜け毛の予防にも有効とされています。また、欧米では特に肘や膝関節などの怪我が多いスポーツ業界や肌治療の分野などで注目を集めているようです。

PRPの治療方法

では、実際にどのようにしてPRPを行うのか見てみましょう。

STEP.1 血液を採血
患者さまからPRP成分を抽出するのに必要な量を採血致します。通常の採血と同じように行われ、採血量は約20mll程度です。

STEP.2 専用の遠心分離機による分離作業
採取した血液を専用の遠心分離機に入れ、血液成分を分離します。

STEP.3 PRP成分の抽出
成分の中でも特に血小板が豊富なPRP成分を抽出します。

STEP.4 薄毛箇所に注入
薄毛が気になる箇所を中心に抽出したPRP成分を注入していきます。

HARG療法

HARG療法

HARG療法とは、頭皮にHARGカクテルと呼ばれる薬剤を注入して毛根細胞を活性化させる再生治療です。HARGカクテルは幹細胞から抽出した150種類以上の成長因子が含まれており、これを発毛組織に直接働きかけることで乱れたヘアサイクルが整い、髪の成長力を高めます。細胞培養などの煩雑な工程を必要とせず、自己血液から抽出した成長因子を使用するため、安全性が高いとされています。

HARG治療のメカニズム

HARG治療のメカニズム

髪の毛は人間の細胞と同じように、周りの細胞にシグナルを出し、血液や体液から栄養を取り込んで成長しています。その成長のための栄養が不足すると、次第に髪の毛に元気がなくなり、抜け毛の増加や薄毛へと繋がっていくのです。
HARG療法は、髪の毛に成長因子を直接与え、細胞間のシグナルの変わりをすることで不足した栄養を補充します。さらに定期的に成長因子を与え、再生された髪の毛がシグナルを出し続けることで、正常なヘアサイクルをキープすることができ薄毛を改善することができるのです。

HARGカクテルとは

HARGカクテルとは

HARG療法で使われる「HARGカクテル」は、脂肪間細胞から抽出されるタンパク質をガンマ滅菌処理したプロテイン成分が主な成分になります。タンパク質には150種類以上の成長因子(グロスファクター)が含まれており、副作用やアレルギーのリスクも少なく、発毛や育毛を促します。
含まれている成長因子の主な種類と効果は以下の通りです。

成長因子

効果

PDGF(血小板由来成長因子)

血管生成と頭皮や毛包のダメージ修復の促進、発毛促進と脱毛予防が期待できる

Basic FGF(線維芽細胞成長因子)

発毛促進に効果的な毛母細胞の増殖を促す働きがある

KGF(ケラチノサイト成長因子)

ケラチン生成細胞を活性化し、発毛環境を整え、毛包の成長促進、脱毛予防が期待できる

HGF(生体細胞成長因子)

休止期の毛包を成長期へと誘導、毛髪の強化促進が期待できる

VEGF(血管内皮細胞成長因子)

新生血管の形成促進、育毛促進や毛髪増量が期待できる

HARG治療のメリット・デメリット

メリットは一定期間の治療を受けたら放置できることです。AGA治療薬と違い、服用を止めても再びAGAが進行する心配は要りません。髪の毛を一時的に再生させるのではなく、毛包本来の力を取り戻す治療となる点が他の治療法と異なる点でしょう。一定期間の治療の後は年に1〜2回程度のメンテナンスで髪の毛をキープできるため、何回も通院する必要はありません。

デメリットは1回にかかる治療費が薬物治療よりは高くつくことぐらいでしょう。しかし、長期的に見ると治療を継続する必要がないため、トータルコストはHARG療法の方が安くなるでしょう。

HARG治療の注意点

注射針で頭皮に穴を開けるため、一時的に痛みや腫れが生じることがあります。通常は1〜2日で症状が消えますが、場合によっては数日間続くこともあります。カラーやパーマは2週間程度控えましょう。

HARG治療の治療期間は?

HARG療法は3、4週間に1回の頻度で治療を6回行うため、治療期間は約6か月前後となります。治療期間の後は、1年に1〜2回のメンテナンスを行い、髪の毛の状態をキープしていきます。治療を始めてから3ヶ月ほどで効果を実感できた人もいますが、HARG療法だけで改善が見られない場合は、薬物治療と併用することも検討してみましょう。

幹細胞治療について

幹細胞治療について

幹細胞治療とは、自身の体内から採取した幹細胞を培養し、再注入することで頭皮の細胞を再生する治療法です。幹細胞は 新しい血管 や脂肪、毛髪のもとになる細胞などに分化することができ、失われた細胞を新たに補充する能力を持っています。さらに幹細胞は決まった組織や臓器で失った細胞を再生させる「組織幹細胞」と様々な細胞に分化・変化できる「多能性幹細胞」に分かれています。2012年に京都大学の山中教授がノーベル生理学・医学賞を取ったiPS細胞もこの多能性幹細胞の1つです。

幹細胞治療のメカニズム

幹細胞治療のメカニズム

発毛は毛包幹細胞が発毛スイッチをONにすることで起こります。このスイッチを入れる役目をするのが、皮下組織に存在する脂肪前駆細胞です。薄毛は、この脂肪前駆細胞の働きが悪くなったことによって発症すると考えられています。そこで採取が容易であり、由来する細胞に優先的に分化する特徴がある脂肪幹細胞を頭皮に移植し、脂肪前駆細胞と毛包幹細胞の働きを活性化させることが薄毛の改善に繋がると期待されたのが幹細胞治療の始まりです。

幹細胞再生治療の成分

毛髪再生治療では自分自身の皮下脂肪から採取した細胞を培養したものを注入します。Basic FGF(線維芽細胞成長因子)・KGF(ケラチノサイト成長因子)・VEGF(血管内皮細胞成長因子)をメインにクリニックによって複数の成分を配合している場合もあります。

発毛の効果

毛髪のもとになる毛包幹細胞が休眠状態に陥ることが薄毛の原因とされていますが、脂肪由来の幹細胞はこの休眠状態の毛包幹細胞を活性化し、通常のヘアサイクルに導く役割があります。ヘアサイクルは成長期・退行期・休止期から成り立っており、丈夫で健康な髪の毛は成長期の長さによって決まります。通常は2〜6年かけて成長しますが、AGAを発症すると成長期が短縮されるために細く弱々しい髪の毛になるのです。幹細胞再生治療は、幹細胞を注入して休眠状態の毛包幹細胞を活性化し、正常なヘアサイクルに戻すことを目的とした治療法です。幹細胞再生治療は他の治療法と比べて、より長期的な効果が続くことが報告されており、一度の治療で効果が現れることが多いですが、状態によっては複数回の治療が必要な場合もあります。また、個人差があるため治療前に医師と相談することが大切です。

幹細胞再生治療の安全性

幹細胞再生治療の安全性

頭皮へ直接注射や皮下脂肪の採取を行う幹細胞再生治療の安全性はどうなっているのか不安に思う方もいるのではないでしょうか。
クリニックによって安全性の確保条件は様々です。院内に細胞培養のためのラボを設置していたり、CEマークの認可機器を導入しているところもあります。どのような対応をしているのかチェックしてみましょう。

再生医療は厚生労働省の認可を受けた医療機関のみ行えます。
再生医療等安全性確保法や医薬品医療機器等法は、国民が迅速かつ安全に受けられるために定められた法律なので、そういった点では安全性は確保されているといえるでしょう。
幹細胞再生治療を検討している方は、どのような安全対策を取り入れているのか、認可を得ている医療機関なのか事前に調べておくことが大切です。

幹細胞再生治療の副作用は、まだ新しい治療法のため判明しきれていない部分があります。医師とよく相談して決めることをおすすめいたします。

※CEマークとは、製品をEU加盟国へ輸出する際に「安全基準条件」を満たすことを証明するマークです

注射で薬剤を注入する再生治療

他にも、髪の毛の再生に効果があるとされるDr.CYJヘアフィラーやミノキシジル注射が注目を集めています。これらの注射も頭皮に直接注射することで、毛髪の成長を促し、育毛効果が期待されています。

Dr.CYJ ヘアフィラーとは

Dr.CYJ ヘアフィラーとは

Dr.CYJ ヘアフィラーは毛髪再生治療を目的として開発された世界初のペプチドを用いた毛髪再生用注入剤です。特許取得済みの7種類のペプチド複合体が配合されており、 髪の再成長や頭皮の再構築を促進します。

ペプチドとはアミノ酸が2個以上結合した物質のことをいい、これらのペプチドが髪を伸ばす成長因子と同じ働きをします。その結果、毛母細胞と頭皮を活性化させ、髪の毛の成長を促すのです。

Dr.CYJヘアフィラーはヒアルロン酸ジェルに包まれてペプチドが配合されており、注入後15日間ほどゆっくりと時間をかけて浸透していきます。
2週間に1回のペースで合計4回行いますが、2回目の治療で効果を実感される方が多くいらっしゃいます。

薄毛効果だけじゃない?

また、髪の毛を太く育て密度を増やしたり、抜け毛や薄毛の改善だけではなく、白髪の予防にも効果があります。
過度なストレスなどにより発生した活性酸素を抑制し、ダメージから髪の毛を守る働きもしてくれます。
AGA(男性型脱毛症)だけでなく、女性びまん性脱毛症など女性にも使用が可能になり、全体的に髪の毛の量が少ない方に適しています。

ミノキシジル注射

ミノキシジル注射も病院で行うAGA治療の1つです。ミノキシジルは内服薬としても有名ですが、効果が強いため起こる多毛症などの副作用や薄毛箇所にピンポイントで発毛効果を狙えないデメリットがあります。ミノキシジル注射の場合、ミノキシジルや成長因子を含んだカクテルを気になる箇所に直接注入することができるので、より効果的にAGA治療を行うことができるのです。ミノキシジル注射には「IGF-1」、「bFGF」、「VEGE」といった成長因子が含まれています。

クリニックに相談しましょう

毛髪再生治療はAGAに悩む人にとって画期的な治療法です。効果が高い反面、新しい治療法のため解明されていない部分もあり、安全性に十分配慮する必要があります。毛髪再生治療をご検討されている方は、まずはクリニックに相談しましょう。どの治療法が自分に合うのか、どのような流れで行うのか、安全性や許可を受けた医療機関なのかなどしっかりとチェックすることをおすすめします。

名古屋 院長 福島 俊彦

【記事監修】名古屋 院長 福島 俊彦

経歴

  • 平成2年 福島県立医科大学医学部 卒業
  • 平成6年 福島県立医科大学大学院 修了(医学博士)
  • 平成8年 福島県立大野病院 勤務
  • 平成15年 国立郡山病院 勤務 医長就任
  • 平成22年 福島県立医科大学医療工学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成22年 福島県立医科大学附属病院 医療安全管理部 副部長 兼任
  • 平成25年 福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座、器官制御外科学講座 准教授 就任
  • 平成28年 親和クリニック 勤務
  • 平成29年 親和クリニック名古屋 院長就任

挨拶

近年注目を集めているのがHARG療法や幹細胞を使った再生治療です。AGAや薄毛治療に特化しており、薄毛に悩まれている方の中には治療を受けるか迷われている方も多いのではないでしょうか。再生治療は、治療を行うには厚生労働省の許可を受ける必要があり、一定の安全性は担保されています。しかし、効果には個人差がありますので、慎重に検討する必要があると思います。再生治療について解説いたします。